
在職老齢年金として満額受け取れる条件が緩和される。
現行では、年金と就業による賃金の合計が月額50万円を超えると、超えた分の2分の1が年金から支給停止(払われない)となる。
支給停止になった分は後でもらえるということもなく、単純に削減される。
たとえば、公的年金として月15万円受け取る65歳以上の人が、働き続けて会社から月35万円もらっていたら、合わせて月額50万円なので、公的年金の15万円はそのまま受け取れる。
しかし、公的年金として月15万円受け取る65歳以上の人が、会社から月45万円もらっていたら、合わせて60万円となり、50万円を超過した10万円のうちの半分=5万円が年金から削減される。
15万円もらえるはずなのに、10万円しか年金支給されないのはちょっと悲しい。働き控えをしようという思考になるのも分かる。
ボーナスについては直近1年分を12分割した額を月額に足さなければならない。
一般的な会社員なら公的年金は15万円くらいもらう人が多いので、在職老齢年金が減らされないように月額に平均35万円に収めようとすると、ボーナス込みでの年収は420万円となる。
高齢化社会である日本。65歳以上でも元気で部長職など役職に就いている人も多い。役職者ならば年収420万円くらいは超えていくだろう。
2022年度末時点で働く65歳以上の高齢者約300万人の16%にあたる約50万人が年金カットの対象になっているとのこと。
2026年からは、この50万円という基準が62万円に引き上げられる。
公的年金を月15万円受け取る人なら、月額47万円=年収564万円まで在職老齢年金の削減を気にせず働けるわけだ。一般的な会社の平均給与くらいか。
人事担当者としても、65歳以上も働いてもらいたい場合、現行では、在職老齢年金がカットされない範囲で、年収420万円くらいの提示しかできなかったものが、2026年以降は、年収564万円の提示ができるようになるわけだ。
在職老齢年金として、公的年金を月15万円受け取る人が、年金全額支給停止になるのは、公的年金15万円と月額給与77万円=92万円になったとき。92万円だから62万円を30万円超えており、超えた分の半分の15万円が支給停止になる。月額77万円だと年収924万円。それなりの会社の部長職くらいならこのくらいの年収になりそう。
公的年金月額15万円受け取る人が、65歳以上も働く場合、在職老齢年金がカットされない範囲として、現行の年収420万円と2026年以降の年収564万円。この違いがどのくらいのモチベーションアップと会社の生産性アップにつながるのか気になるところ。
働くことは健康にもいい。国の医療費もやや削減されるかな。
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