保険業界がAI(人工知能)で進化する部分は?

保険業界がAI(人工知能)で目指す世界

AIによる自動化の研究開発が進んでいますが保険業界にとってのAI活用はどのようなものなのでしょうか。

保険は基本的に事務作業がメインですので、RPA(Robotic Process Automation)として、単純な事務作業の繰り返しを自動化するとか、膨大な約款&契約規定等からの適切な解を自動的に探すとか、または単純な事故についてAIが自動対応し、効率化を進めていく、ということなのでしょう。

保険とAIの組み合わせは、InsuranceとTechnologyをあわせて”InsTech”と言われますが、いずれも、これまで人間が行っていたことを機械が自動的に行うということであり、これは工場のFA化(Factory Automation)と同じ流れだと言えます。

いわゆる事務屋の仕事についても自動化の流れが加速していくのでしょうね。

メーカーの工場を見学すると、ほぼ自動化されて人間がすごく少ないということがありますが、オフィスワークにもだんたんとそのような世界が訪れるのでしょう。というか、そのような世界を目指す競争がすでに始まっていると考えるべきだと思います。

 

保険業界×AIの例

シナモン

株式会社シナモンはAI(人工知能)を独自開発しており、文書の文字認識または音声の文字化が得意とのこと。

日常的に発生する無駄な業務をなくし、人が創造性溢れる仕事に集中できる世界を目指します。

↑いいキャッチフレーズですね。

 

AIで保険会社の業務改善 - 文字認識ソリューション本番開発へ
独自開発の人口地のエンジンを提供している(株)シナモンはこのほど、第三者割当増資および融資によって約9億円の資金調達を実施し、事業展開を加速させている。AIを活用した文字認識ソリューション「Flax Scanner」は実証実験を経て、読み取り精度が向上し、本番開発の契約締結も進み、保険会社の申込書などのシステム入力作業に活用されている。また、特化型音声認識技術「RossaVoice(ロッサ・ボイス)」のプレローンチを行い、実証実験を進めている。平野未来代表取締役は「ホライトカラ―の生産性向上をテーマにAIプラットフォームとしてのさらなる基盤を築き、業務改善を推進するさまざまなプロダクトの開発に取り組む」と考えを示している。
(2018.7.20保険毎日新聞)

保険の契約においては、代理店がPCで作成した申込書を顧客のサイン等を得て、そのままPCにて登録(計上)すれば自動的に保険会社のオンラインに反映されるものもあります。だんだんと代理店でオンライン反映まで完結する保険種類が増えていますが、それでもまだ保険会社の方で申込書を見ながらオンライン反映させなくてはならない保険種目もたくさんあります。

シナモンのAIでは申込書に記載の情報を高い精度で読み取り、システムに自動で入力できて、不確定の確率が高い場合はエラーを表示し、マニュアル対応が可能とのこと。そのようなエラーについても学習し、精度が向上するそうです。

ここまでできれば入力オペレーターの人員はかなり削減できるようになるのでしょう。人員が削減できればコストが下がって、場合によっては保険料も下がるかもしれません。

また、保険会社への問い合わせ電話についても、AIを活用して効率化することができるそうで、音声認識技術によって業界の特殊用語も含め高い精度でテキスト化できたり、それまでオペレーターが検索していたものをAIが代わりに文書検索することで、オペレーターの対応スピードが向上するだろうとのこと。また通話内容の要約ドラフトを自動作成できるので、通話記録の作成もラクになるとか。

 

損保ジャパン日本興亜

コールセンターにおける人工知能(AI)の本格導入を実施
~アドバイザーの支援機能を全国の拠点に導入するとともに、
音声による自動通話対応を見据えた共同実験を開始~
(損保ジャパン日本興亜プレスリリースより2018.3.19)

 

損保ジャパン日本興亜では、NTTコミュニケーションズと協力して、2018年3月から全国のコールセンターに「アドバイザー自動知識支援システム」を導入しているとのこと。(損保ジャパン日本興亜ではオペレーターのことをアドバイザーと呼んでいる)

顧客からの電話照会について音声認識をし、自動的にAIがパンフレットや約款(ご契約のしおり)を読み、回答候補を表示するシステムで、音声認識については精度が95%にもなるといいます。これなら経験年数の浅いオペレーターでも十分なクオリティの顧客対応がしやすくなりますね。

損保ジャパン日本興亜では、顧客対応を人間ではなくAIによる自動通話対応=バーチャルアドバイザーの実現を目指しているとのこと。難しい話などAIには対応不可の案件のみ人間が対応していく形になるのかもしれませんね。でも、クレーム的な電話の場合に、AIが「申し訳ございません」と反応したら、顧客はどう感じるのだろう・・・

 

第一生命

RPAは、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業を代替して実行する技術として注目されています。当社では 2016 年 10 月より、デロイトトーマツコンサルティング合同会社、アクセンチュア株式会社と共同でRPAの実証試験、当社システムへの適用、導入できる業務の分析などを実施し、個人保険事務の約 20 種類の業務で順次トライアル稼動を進めてきました。2017 年 10 月からは保険関係事務に加え、マーケティング、総務・会計、資産運用にかかわる事務など、全社の様々な業務にRPA活用を広げ、生産性向上、働き方改革を推進します。
(第一生命プレスリリースより2017.9.7)

具体的には、保険金支払査定関連業務や、企業評価/モニタリングに関する資料作成業務(資産運用分野)、業績等、内部管理資料作成業務(各分野)などにAI/RPAを活用していくということです。

第一生命も巨大企業で約56000人もの従業員がいますから、ひとつのシステム改善で大きな改善効果が期待できそうですね。

保険クリニック

【日本初】 AIを活用した「生命保険証券の自動分析サービス」を 『保険クリニック』全店でサービス開始のお知らせ
(保険クリニックプレスリリースより2018.5.30)

スマホなどで生命保険証券を撮影すると、自動的にどんな保障内容か整理した「分析シート」を生成してくれるとか。場合によってはこれまで証券分析に60分かかっていたところを5分まで短縮できて顧客対応の質向上に役立っているそう。

これもすごく良いシステムですね。生命保険会社の商品は似ているようで、各社独自の商品名だったり特約名称、保障内容も微妙に異なることにくわえ、数年おきに商品のリニューアルがありますから、顧客が現状加入している保険の内容を正確に把握するためには、各保険会社の商品や特約についてはその都度調べる必要があります。それを自動化できるということはスタッフの側にも顧客の側にもメリットのあることでしょう。

 

まとめ

AIによって、文書読み取り、自動入力、自動検索、音声認識、自動テキスト化・・・

保険はそもそもモノのない文書による契約だけですから、AIがハマりやすい業界なのかもしれません。効率化、高度化の流れはもはや不可避といえるでしょう。それによって顧客サービスの向上やより良い保険商品の開発ができていくことに期待したいです。

 


(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。個別具体的な保険契約内容についてはパンフレットや重要事項説明書、約款等をご確認いただくか、保険代理店または保険会社へお問い合わせください。


 


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