年金受給額ざっくり

20年後、公的年金は今より2割程目減りする?(所得代替率の件)

老後の資金準備。あと回しにしていませんか?

若い方(30代・40代以下)への質問。
「公的年金は、何才から、いくらぐらいもらえるものでしょうか?」

何となくでも把握していますか?

そして、それが十分なのか不足なのか。
不足ならどれだけ不足なのか、不足分を埋めるにはどれだけ準備すればいいのか、具体的に考えたことはあるでしょうか?

この記事をお読みの方はわざわざ検索か何かで来られたのでしょうから、このテーマについて意識が高いと思われますが、多くの人がきっと準備不足。臭いものにフタをしている状態と推測しております。

生命保険文化センター『令和元年度「生活保障に関する調査」』によれば、老後生活に不安感ありは約85%。不安に感じる理由は、ほとんど経済的な事柄によるものです。
「公的年金だけでは不十分」
「自助努力による準備が不足する」
「退職金や企業年金だけでは不十分」
「仕事が確保できない」
「配偶者に先立たれ経済的に苦しくなる」
「貯金等の準備資金が目減りする」
「住居が確保できない」
etc…

それに対し、十分かどうかは別として、何らかの手段で自分で準備している人の割合は約62%、まったく準備していない人は35%以上です。

人は重要でも緊急性のないものは後回しにしてしまう」性質があります。

病気や離婚など事情があって老後のための貯蓄ができない人もいるでしょうが、目の前の生活でいっぱいいっぱいという方もいるでしょうが、「単に後回しにしているだけ」という人も多いのではないでしょうか。

現制度で公的年金はいくら受け取れる計算か?

日本人全員が加入する(ことになっている)国民(基礎)年金は20才~60才まで年金保険料を払い、基本的に65才から満額で年間約78万円死ぬまで受取れます(現状では)。

会社員や公務員などの厚生年金はその人の総報酬額に応じてだいたい年70万円~170万円程受取れます(現状では)。

つまり、会社員等は総報酬額に応じ、基礎年金とあわせ年150万円~250万円受取ることができて、妻が専業主婦の場合、妻の基礎年金約80万円を足して、満額計算なら年230万円~330万円もらえます。

ちなみに、現在年金を受け取っている人の平均受給額は、厚生年金+基礎年金の人は年約175万円、基礎年金だけの人は年約67万円。会社員と専業主婦の組み合わせの場合、平均で240万円
厚生労働省年金局「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

厚生年金は総報酬額に応じて・・・と書きましたが、ざっくり計算するなら以下のような式になるようです。

手取りの総報酬額×0.55%=厚生年金部分(報酬比例部分)の年間受給額

例:
社会人1年目手取り300万円~60才定年時手取り600万円

総報酬額=平均手取り450万円×38年=17,100万円

17,100万円×0.55%=約94万円

この方が会社員で妻が専業主婦の場合、
厚生年金94万円+基礎年金78万円×2=年250万円受取り。

現行の公的年金制度による年金受給額(ざっくり)
年金受給額ざっくり
※会社員は手取り平均450万円×38年として。

どうでしょう?
上記の受給額からも、公的年金だけで老後を生活していくのはなかなか厳しいという方が大半ではないでしょうか。

一方、老後の生活費は、60才以上二人以上の無職世帯の平均で年約300万円(月約25万円)。
総務省「家計調査年報」/2018年
(ゆとりを持った生活を望めば、これにプラス年約120万円)

公的年金で不足する分は貯金を取り崩すことになりますが、60才代の貯蓄額中央値は630万円
金融広報中央委員会 1世帯当たり金融資産保有額(2019年/令和元年)

まとめると。

・二人以上世帯の老後の平均的な生活費は年300万円

・会社員+専業主婦のモデル世帯の年金収入は年250万円

・60歳代の貯蓄額中央値は630万円

毎年50万円ずつ不足して貯蓄を取り崩したら、10年くらいで底をついてしまいます。

これは現状であって、これから将来老後を迎える30代、40代以下の我々はもっと厳しくなるので十分に備えておく必要がありそうです。

約20年後、所得代替率は現状の60%→51%へ

政府は年金の制度設計において、「所得代替率」という観点でも計算しています。

所得代替率とは現役時代の平均手取り額の何%くらいを年金でもらえるかという割合のことを言います。

たとえば、現役時代の平均手取り額が450万円、所得代替率が60%の場合、公的年金は年270万円もらえる、ということになります。

厚労省「所得代替率の見通し」より

現状(2020)では、所得代替率は60%程度とみられていますが、約20年後には50%まで下がる見通しです。

少子高齢化のために、それほど財政がひっ迫しているということですね。

・現役時代の平均手取り額450万円×所得代替率60%=270万円
・現役時代の平均手取り額450万円×所得代替率50%225万円

年間で50万円近くも年金額が減ってしまいます。

また、公的年金受給額については、「マクロ経済スライド」というよく分からない名前の仕組みのもと、インフレ率ほど公的年金の受給額は増やさないよ、ということになっています。

したがって、必要生活費がインフレにより徐々に上がったとしても公的年金受給額はほぼ上がらないと考えていた方が良いのです。

いまでも平均的な生活費は年金だけでまかなえないうえに、年金額が減り、さらにインフレによって物価が上がったらと思うと・・身が引き締まる思いです。

夫婦共働きで計画的に貯蓄ができて老後も仲良く健康で長生き。 とか

資産家 とか

高収入者 くらいしか勝ち組になれないのかもしれませんね。

なんかもう、皆で田舎に大きな建物つくって、エネルギーは太陽光で、食糧もほぼ自給自足的に生活するとか、そんな動きが出てくるんじゃないでしょうか。

それでも悲観せず、冷静に計画を立てて今からできることをコツコツやっていくということでしょうか。

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