退職金資産運用注意点

【ケーススタディ】定年後から資産運用(投資信託など)をはじめる際の注意点

会社員としての定年を迎え、まとまった退職金が入り、どう運用しようか悩む方も多いと思います。

ある方曰く、「60歳前後の友達との話題は健康と親の介護とお金のことだけだよ」と。

1990年頃のバブル崩壊以降、日本はどちらかといえばデフレ社会で物価が上がらない、または物価が下がる環境であったためわざわざ元本割れのリスクをとって資産運用をしてお金を増やそうとする必要はなかったともいわれます。

それ以前も高度成長時代の波にのって、普通預金でも高金利であったことや、物価は上がるが給料も上がっていたため資産運用の必要性は薄く、会社に頑張って勤め続ければ未来は約束されているようなシンプルさがあったかもしれません。

しかしながら、公的年金の受取額が減少傾向であること、または預金金利の低下などから、これまでのように元本確保型の金融商品だけではなく、もう少しリスクをとって資産運用を・・・と考える方も多いでしょう。

年金政策的には、所得代替率を下げる方向であったり、または「マクロ経済スライド」という「物価は上がっても年金額はそれほど上げません」という制度のために今後さらに老後生活は厳しくなる方向で動いています。

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少子高齢化によって65歳以上の世代を現役世代が支える割合はどんどん厳しくなっている。・1950年 約12人で1人の高齢者…

資産運用をはじめるにあたっては、銀行や証券会社などから各種リスクについて説明を受けると思いますが、定年後という年代的には資産運用で失敗が許されにくい状況下での注意点を3つあげたいと思います。

定年後から資産運用(投資信託など)をはじめる際の注意点

注意点1 一気に投資しない
仮に投資信託だとして、ひとつのファンドで何十~数百の株や債券に分散投資できるとしてもそれなりにリスク(値動き)があります。

以下は過去30年間のインデックス指数(各資産ごとの平均値)における騰落率をエクセルにまとめたファイルです。アクティブ型よりも値動きの幅が狭いとされるインデックス型だとしても年間に数十%値動きが生じることがあります。

低い価格で投資できるチャンスは逃すかもしれませんが、高値掴みを回避するためには、一気に投資せず、毎年○○万円ずつというようにタイミングを分けて投資を行う戦略をおすすめします。

試しに2008年から日本株、外国株、日本債券、外国債券、外国リートにそれぞれ20%ずつ分散投資をした場合で見てみましょう。

▼高値掴みをしてしまった場合(例:2008年に500万円投資)

高値掴みをしてしまった場合でも2013年には投資額に対し、結果的にプラスに転じていますが、投資開始から2012年まで5年間も20~30%程の元本割れ状態が続き、2013年にやっとプラスになっています。初めて投資した方にとって5年もマイナスが続くと自分の判断が間違っていたんだろうかと思い悩んだり、家族がいる場合は家族に後ろめたさを感じてしまうかもしれません。途中で解約したくもなるでしょう。

最悪のときで、500万円が337万円と、マイナス163万円にもなってしまっています。

▼タイミングを分けて毎年100万円×5年間投資を行った場合

一方、タイミングを分けて投資を行った場合、2008年は30%ほど元本割れしますが2009年には元本に対し-1.3%とだいぶ回復し、2011年までマイナスですがマイナス幅も小さく、2012年にはプラスに転じています。

金額的にも、最悪のときで100万円が67万円と、マイナス33万円で済んでいます。

タイミングを分けた投資がいつもうまくいくとは限りませんが、一気に投資を行うよりも資産運用の結果をマイルドにする効果はあるといえます。

注意点2 ライフプラン表をつくり資産運用効果の目安をもつ
資産運用を行い、どれだけ増える見込みか期待値と結果を見比べるのもよいですが、それだけでは「木を見て森を見ず」になりかねません。

資産運用で儲けた分贅沢をする、資産運用で損した分がっかりする、それではギャンブルに近いものにしかなりえないと考えます。

せっかく資産運用を行うなら長期的に戦略をもってライフプラン充実のために行えば、より充実した安心感のある生活につながるでしょう。また、資産運用は毎年一定のパフォーマンスを出すものではないのでライフプラン表は毎年1回以上など定期的に見直す必要があります。

注意点3 資産関係を共有化しておく
みなさん考えることですが、自分が死んでもちゃんと相続できるように銀行口座・証券口座(・保険証券)などを整理したり不要な口座は解約してまとめておいたりしましょう。今すぐ夫婦・家族で共有化せずとも、たとえば遺言署またはそれに準ずる形で万一の際分かるようにしておくことで、これもひとつの安心感につながると思います。

ケーススタディ

たとえばのケーススタディとして以下の条件で、資産運用をしない場合と資産運用をする場合のライフプラン表をつくってみました。

↓主な前提条件
○夫=59歳会社員(手取り年収600万円) (61歳~5年間は300万円)
○妻=59歳専業主婦
○夫退職金 60歳時1500万円
○公的年金は65歳から夫婦合わせて260万円
○基本生活費 年間300万円
○住宅=持ち家 税・維持費年間平均30万円
○現在の金融資産1500万円

▼資産運用をしない場合
ライフプラン60s

60歳~66歳頃(働いている間)までは金融資産が3000万円以上をキープできますが、その後は毎年百数十万円の赤字となり90歳を待たずして金融資産が枯渇してしまいます。

▼資産運用をする場合
ライフプラン60s投資あり

60歳から69歳まで毎年100万円ずつ投資を行い、投資分の期待利回り5%と設定、73歳から毎年100万円を投資分から解約し生活費に充てるとすると、90歳時点でも500万円以上金融資産が残る見通しとなります。

資産運用をする場合としない場合では、上記の条件で30年間で900万円弱の差になりました。
あとは必要があれば生活費を見直す、ほかの対策を考えるなどライフプラン表をベースに色々と考えることができます。

▼参考になることがありましたらシェアいただけるとうれしいです。

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