高齢化率の将来推移

65歳以上の高齢化率が29%→39%まで上昇。大介護時代をどう乗り切るのか

高齢化社会の主な問題5つ

日本の高齢化問題が叫ばれて久しく、高齢化社会には主に次のような課題がある。

1.年金・社会保障の負担増加
高齢者の増加に伴い、年金や医療、介護などの社会保障制度への負担が増加。経済的なバランスが崩れ、制度の持続可能性が懸念される。

2.医療・介護の需要増加
高齢者の増加に伴い、慢性疾患や認知症などの需要が急増する。医療・介護のニーズが増加し、適切なサービスを提供するためのインフラや人材不足が深刻化する。

3.労働力不足
若年層の減少や就業人口の減少により、労働力が不足。これが経済において様々な課題を引き起こし、企業の生産性や国の競争力に影響を与える。

4.孤独死や社会的孤立
高齢者の中には孤独死や社会的孤立に悩む人が増加。家族構造の変化や地域社会の希薄化により、高齢者が孤立しやすくなっている。

5.地域コミュニティの弱体化
地域から若年層が少なくなり伝統的な祭りなどの文化が廃れ、結束が弱まり地域コミュニティが弱体化、悪循環につながる。

 

高齢化社会を打破するには若年層を増やすしかないが、教育費・養育費、住居費、その他生活費のインフレや、共働きによる時間的制約、婚姻率の低下、「結婚して子供を持つことばかりが人生ではない」という価値観の変化など、少子化に陥っている強固な構造を変えるのは簡単ではない。

他国の先進例のように家庭に子供が増える程、生活が経済的にどんどん楽になるような仕組みの導入が待たれる。

たとえばどこかの地域を特区として社会実験してみるべき時期に来ているのではないか?

高齢化率の現在の状況と将来推移予測

高齢化率の将来推移

65歳以上を高齢者と捉えた場合、現在の高齢化率は約29%

これが約50年後には39%になる見込み。(その頃私も生きていれば高齢化の一因になっている)

日本は人口全体が減っていくなかでも高齢者の総数はさほど減らないために高齢化率がどんどん上がっていく。

いまでは65歳を過ぎても働く人の割合が増えているが、それでも高齢者になると健康上の問題が増えて、どちらかといえば助ける側より助けられる側になる。

医療費や介護費を抜本的に改革しなければ国の借金が減ることはなく国力低下、国の魅力低下、富裕層が日本を避ける、相対的な国の地位低下、生活の質低下、治安の悪化・・という悪循環に陥る可能性がある。

要介護者の将来推移予測(人数と割合)

高齢になればなるほど誰かの助けが必要となる要介護状態となる確率が高まる。

<各年齢層と要介護者数の関係>

年代別要介護割合

2020年時点の65歳以上の人口は3585万人、そのうち要介護者は671万人の19%。

65歳以上の約2割が要介護になるらしい。

2020年の人口12500万人に対し、要介護者671万人。その割合は5.4

同じような計算をすると、
2030年の人口12000万人に対し、要介護者700万人。その割合は5.8

2040年の人口11300万人に対し、要介護者750万人。その割合6.6

2050年の人口10500万人に対し、要介護者740万人。その割合6.5

2060年の人口9600万人に対し、要介護者700万人。その割合7.3

2070年の人口8700万人に対し、要介護者640万人。その割合7.4

全人口に対する要介護者の割合は少しずつ増えていく。

一方で介護をする側の人材は減っていく。今でさえ介護職は薄給で厳しい仕事と言われるため、何か構造的な改革が必要。

高齢化率の国別ランキング

2022年GLOBAL NOTEの情報によれば世界の高齢化率の平均は9.81
つまり10人に1人が65歳以上、というのが平均値らしい。
日本は29.9%で世界2位。高齢者の割合は10人に3人
1位のモナコは人口4万人の世界で2番目に小さい国なので、実質的には日本が高齢化率1位といっていい。

世界地図で表すと、日本の色が濃いのが分かる。
比較的北半球の先進国、欧米の高齢化率が高い。
アメリカで17.1%、人口大国の中国は13.7%。
日本の約3割はやはり突出している

国別高齢化率ランキング

 

順位国名単位:%
1モナコ35.9
2日本29.9
3イタリア24.1
4フィンランド23.3
5プエルトリコ22.9
6ポルトガル22.9
7ギリシャ22.8
8ドイツ22.4
9ブルガリア22.4
10クロアチア22.4
11マン島22.3
12ラトビア21.9
13フランス21.7
14スロベニア21.0
15ジブラルタル20.8
16リトアニア20.8
17チェコ20.6
18エストニア20.6
19セルビア20.6
20デンマーク20.5
21香港20.5
22サンマリノ20.5
23米領ヴァージン諸島20.4
24バミューダ20.4
25オランダ20.3
26スペイン20.3
27スウェーデン20.3
28ハンガリー20.0
29オーストリア19.8
30ベルギー19.7
31リヒテンシュタイン19.4
32スイス19.3
33イギリス19.2
34マルタ19.1
35カナダ19.0
36ウクライナ18.8
37ルーマニア18.6
38ポーランド18.6
39ノルウェー18.4
40ボスニア・ヘルツェゴビナ18.4
41フェロー諸島17.9
42韓国17.5
43ベラルーシ17.2
44米国17.1
45スロバキア17.0
46オーストラリア16.9
47台湾16.9
48アルバニア16.7
49モンテネグロ16.6
50チャンネル諸島16.4
51ニュージーランド16.3
52バルバドス16.3
53アルバ16.1
54キューバ15.8
55ロシア15.8
56ウルグアイ15.6
57アイスランド15.3
58タイ15.2
59アイルランド15.1
60シンガポール15.1
61ルクセンブルク15.0
62アンドラ15.0
63キュラソー15.0
64北マケドニア14.9
65キプロス14.8
66ジョージア(グルジア)14.6
67中国13.7
68アルメニア13.2
69チリ13.0
70マカオ13.0
71モルドバ13.0
72モーリシャス12.8
73イスラエル12.0
74アルゼンチン11.9
75グアム11.8
76北朝鮮11.7
77スリランカ11.5
78トリニダード・トバゴ11.5
79仏領セント・マーチン島11.1
80ニューカレドニア11.0
81セントビンセント・グレナディーン10.9
82コスタリカ10.8
83北マリアナ諸島10.8
84アンティグア・バーブーダ10.6
85蘭領セント・マーチン島10.6
86タークス・カイコス諸島10.3
87コソボ10.2
88セントクリストファー・ネイビス10.1
89仏領ポリネシア10.1
90グレナダ10.1
91グリーンランド10.0
92英領ヴァージン諸島9.9
93レバノン9.9
94パラオ9.9
95ブラジル9.9
96ドミニカ9.5
97セントルシア9.2
98ベトナム9.1
99チュニジア9.0
100コロンビア9.0
101バハマ8.9
102パナマ8.8
103トルコ8.6
104ベネズエラ8.6
105ペルー8.4
106メキシコ8.3
107エルサルバドル8.2
108ケイマン諸島8.2
109セーシェル8.2
110カザフスタン8.0
111エクアドル7.8
112モロッコ7.7
113イラン7.6
114マレーシア7.5
115ジャマイカ7.5
116ドミニカ共和国7.4
117スリナム7.4
118米領サモア7.3
119アゼルバイジャン7.1
120インド6.9
121インドネシア6.9
122ミャンマー6.8
123ツバル6.4
124アルジェリア6.4
125ガイアナ6.3
126パラグアイ6.3
127ブータン6.3
128トンガ6.2
129ブルネイ6.2
130ミクロネシア連邦6.2
131ネパール6.1
132バングラデシュ6.0
133フィジー5.9
134南アフリカ5.9
135カンボジア5.8
136カーボヴェルデ5.6
137フィリピン5.4
138ニカラグア5.3
139サモア5.2
140東ティモール5.2
141トルクメニスタン5.2
142ウズベキスタン5.1
143ベリーズ5.1
144クウェート4.9
145グアテマラ4.9
146リビア4.9
147ボリビア4.9
148エジプト4.8
149モルディブ4.8
150シリア4.7
151モンゴル4.6
152マーシャル諸島4.6
153ハイチ4.5
154キルギス4.5
155ジブチ4.5
156ラオス4.5
157コモロ4.3
158パキスタン4.3
159ホンジュラス4.3
160レソト4.2
161エリトリア4.0
162エスワティニ(スワジランド)4.0
163ナミビア4.0
164ガボン3.9
165ヨルダン3.8
166キリバス3.8
167サントメ・プリンシペ3.8
168バーレーン3.8
169バヌアツ3.7
170ボツワナ3.7
171ガーナ3.6
172パレスチナ3.5
173スーダン3.5
174タジキスタン3.5
175ソロモン諸島3.5
176イラク3.4
177マダガスカル3.4
178ギニア3.3
179ジンバブエ3.3
180リベリア3.3
181モーリタニア3.2
182ルワンダ3.2
183パプアニューギニア3.2
184エチオピア3.1
185シエラレオネ3.1
186セネガル3.1
187トーゴ3.1
188赤道ギニア3.1
189タンザニア3.1
190ベナン3.1
191ナイジェリア3.0
192コンゴ民主共和国2.9
193南スーダン2.9
194ケニア2.9
195ギニアビサウ2.8
196サウジアラビア2.8
197オマーン2.8
198コンゴ共和国2.7
199カメルーン2.7
200イエメン2.7
201マラウイ2.6
202アンゴラ2.6
203ソマリア2.6
204モザンビーク2.6
205ブルキナファソ2.5
206中央アフリカ2.5
207ブルンジ2.5
208ナウル2.5
209ガンビア2.4
210ニジェール2.4
211コートジボワール2.4
212アフガニスタン2.4
213マリ2.4
214チャド2.0
215アラブ首長国連邦1.8
216ザンビア1.8
217ウガンダ1.7
218カタール1.5
世界計9.8

 

高齢化率の都道府県別ランキング

日本の都道府県別、高齢化率は、秋田県がトップで38.1%、最も低いのが東京都で22.9%となっている。秋田県は既に日本の50年後を先取りしてしまっている

約20年後(2045年)の高齢化率予測もでており、全ての都道府県で高齢化率は上昇、概ねどの地域でも4割~5割が65歳以上の高齢者ということになってしまう。

これは大きな問題・・

令和3年(2021年)令和27年(2045年)
総人口
(千人)
65歳以上人口
(千人)
高齢化率
(%)
高齢化率(%)高齢化率の
伸び率
1秋田県94536038.150.112.0
2高知県68424535.942.76.8
3山口県1,32846535.039.74.7
4徳島県71224734.741.56.8
5島根県66522934.539.55.0
6青森県1,22141934.346.812.5
7山形県1,05536234.343.08.7
8岩手県1,19640934.243.29.0
9和歌山県91430833.839.86.0
10大分県1,11437633.739.35.6
11愛媛県1,32144433.641.57.9
12長崎県1,29743533.640.67.0
13新潟県2,17772333.240.97.7
14宮崎県1,06135133.140.06.9
15鹿児島県1,57652133.140.87.7
16富山県1,02533732.840.37.5
17鳥取県54918032.738.76.0
18北海道5,1831,68632.542.810.3
19福島県1,81258532.344.211.9
20長野県2,03365732.341.79.4
21香川県94230332.238.36.1
22奈良県1,31542332.141.19.0
23熊本県1,72855131.937.15.2
24山梨県80525231.343.011.7
25佐賀県80625131.137.05.9
26福井県76023631.038.57.5
27岐阜県1,96160530.838.77.9
28岡山県1,87657530.636.05.4
29群馬県1,92758930.539.48.9
30静岡県3,6081,09930.538.98.4
31三重県1,75653130.338.38.0
32茨城県2,85286030.140.09.9
33石川県1,12533830.137.27.1
34広島県2,78082729.735.25.5
35栃木県1,92156929.637.37.7
36京都府2,56175829.637.88.2
37兵庫県5,4321,60829.638.99.3
38宮城県2,29065528.640.311.7
39福岡県5,1241,44528.235.27.0
40千葉県6,2751,74827.936.48.5
41大阪府8,8062,44227.736.28.5
42埼玉県7,3402,00027.235.88.6
43滋賀県1,41137626.634.37.7
44神奈川県9,2362,37625.735.29.5
45愛知県7,5171,91825.533.17.6
46沖縄県1,46833923.131.48.3
47東京都14,0103,20222.930.77.8

人口の多い東京が30%であることで、日本全体の高齢化率が平均化され、50年後までに約4割の高齢化率、ということなるが、東京とそれ以外という図式が鮮明になりそう。
(それまでに首都圏巨大地震や富士山噴火などの大災害がなければ。)

高齢者における主な介護制度

要支援や要介護と認定されて、所定の介護サービスを受ける場合、65歳以上であれば収入等に応じて、その自己負担額はサービス料の1~3割となる。年金しか収入がないという場合はほとんどケースで1割負担で済むだろう。

要支援から要介護

高齢化率の影響に備えた社会基盤強化の必要性

高齢化率の増加は、社会全体に様々な影響をもたらす可能性がある。そのため、以下のような社会基盤の強化が必要になる。

1.医療・介護施設の充実
今でも医療・介護施設施設は増え続けているが、高齢化率の増加に応じてさらなる施設数や従事者の増加が必要になる。

2.交通・移動手段の改善
老齢により歩行や車の運転が困難になる。そのため公共交通機関のアクセシビリティ向上や、歩行者や車いす利用者向けのバリアフリー施策が求められる。

3.住宅環境の整備
高齢者向けのバリアフリー住宅だけでなく、町全体の住環境の整備が必要。身体機能が衰えても快適に暮らせる仕組みが求められる。

4.働き方の柔軟化
65歳以上の高齢者といっても健康な人はたくさんいる。彼らを労働力の一部として有効に活用するために、働き方の柔軟化や仕組みの改革が必要。これにより、経済への貢献を促進し、社会の持続可能性を高められる。

5.社会参加の促進
一人暮らし高齢者の孤独や孤立感を緩和するため、コミュニティ活動や趣味など、社会参加を促進する施策が必要。

これらの要素を戦略的に整備することで、高齢化率増加の弊害を緩和し、生きがいのある生活が維持され、社会全体の持続可能性が確保される可能性が高まる

高齢化率と大介護時代への対応まとめ

安心・快適な生活を守るため日本は、抜本的な高齢化率への対策(インパクトのある少子化対策等)を行うか、でなければ増加する高齢化率に対して、戦略的な対策を講じなくてはならない。

高齢化率の増加が止められないとすれば、増加する介護需要に対応できるだけの施設・サービスを拡充していくしかない。コンパクトシティ化して無駄を省き、できるだけ少ないコストで大きな効果を生み出していく生産性の改善が重要になる。

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