火災保険支払限度額

【企業火災保険】支払限度額を半分にしても保険料が半分にならないのは何故ですか?

支払限度額を設定する理由とその手法

事業用物件に対する火災保険契約では、事故時に支払われる保険金について「支払限度額」を設定することによって保険料を抑えることができるので、特に大規模物件(概ね10億円以上)の場合は、火災保険契約に「支払限度額」を設定していることが多いです。

たとえば、「本社」と「営業所」と「工場」と「支店」と「倉庫」と「店舗」と「社宅」がまったく別の所在地に立地していて、合計保険金額が10億円、うち最も大きい物件が本社の2億円だとします。

1回の事故(同じ事故原因)で複数の物件が罹災することは考えにくいので、もっとも保険金額が大きい物件に合わせて1事故あたりの支払限度額を2億円などと設定すれば合理的な保険契約になるといえます。これを「ファーストロス方式」ともいいます。

 

もし、偶然にも同日に別の場所で火災が起こったとしても、それは事故原因が異なりますので、2事故扱いとなります。

支払限度額は補償項目ごとに設定することも可能で、たとえば以下のようなケースがあり得ます。

(例)全体の保険金額(保険価額)は10億円

補償項目支払限度額免責金額
火災、落雷、破裂、爆発2億円なし
風災、ひょう災、雪災2億円なし
水災2億円なし
電気的・機械的事故1億円なし
その他不測かつ突発的な事故5千万円なし

支払限度額は、その保険料削減効果と、考えられる最大の損害額等を勘案し設定するとよいでしょう。

考えられる最大の損害額(予想最大損害額)はPML(Probable Maximum Loss)といい、PMLを明らかにしたい場合は、リスクコンサルティングサービスを提供する保険会社の関連会社に依頼することが一般的です。実際に対象物件を調査し、保険対象物件の価額や、リスク状況、立地などから、各事故に対するPML(予想最大損害額)をレポートしてくれます(通常は有料)。

たとえば火災事故に対するPML(予想最大損害額)は最悪の火災事故を想定して、最大燃え広がる範囲の物件の保険価額をベースに検討することが多いようです。隣接建物まで距離がある、防火設備状況、主要構造部が不燃材で覆われているかどうか、などによりPML(予想最大損害額)は変わってきます。

免責金額については以下3つのポイントで検討するとよいでしょう。

保険料の削減効果免責金額を何パターンか設定し、保険料削減効果を確認します。
財務インパクト自社の財務状況から保険事故時に自己負担可能な金額を検討します。
事故時の運用保険事故時に自己負担するのは面倒という場合は免責金額なしでもよいでしょう。一方、小損害が頻発するような場合で、保険金請求手続きの方が面倒な場合、一定の免責金額を設定する方が合理的です。

支払限度額を半分にしても保険料はあまり変わらない

以下の条件で支払限度額を設定する場合の保険料削減効果を確認してみます。

<条件>
保険期間1年 保険料一括払 敷地数6(事務所、営業所、工場、倉庫など) 合計保険金額(保険価額)10億円(新価) 構造級別すべて2級 工場種別:電気機械器具製造 (国内大手損害保険会社にて試算)

 

全体の保険金額(保険価額)は10億円

補償項目支払限度額免責金額
火災、落雷、破裂、爆発10億円なし
風災、ひょう災、雪災10億円なし
水災10億円なし
電気的・機械的事故10億円なし
その他不測かつ突発的な事故10億円なし

↑この場合の保険料は1,574,800円

 

支払限度額億5億円免責金額なし保険料1,574,800円(±0円)
支払限度額億2億円免責金額なし保険料1,562,800円(-12,000円)
支払限度額億5千万円免責金額なし保険料1,355,500円(-219,300円)
支払限度額億10億円免責金額10万円保険料1,537,600円(-37,200円)
支払限度額億10億円免責金額50万円保険料1,316,600円(-258,200円)
支払限度額億10億円免責金額100万円保険料1,232,900円(-341,900円)

※支払限度額、免責金額は、全補償項目で統一

支払限度額を半分の5億円に設定しても保険料は1円も変わりませんでした。

また、支払限度額を10億円から2億円や5千万円と大幅に下げても保険料は劇的には変わらない印象ですね。免責金額を調整した方が保険料は削減されやすい印象です。

もちろん、設定する条件や保険会社によっても結果は変わりますが、支払限度額を設定してもそれほど保険料は下がらない、ということが分かります。

では、支払限度額を設定しても保険料があまり下がらないのはなぜなのか?

保険事故のうち、対象物件が「全損」することは稀であり、その対象物件の保険金額が何億円、何十億円、何百億円だとしても、実際の保険事故では数十万円とか、割と大きめの事故でも数百万円ほどの一部損害に対する支払がほとんどです。

保険料と支払保険金の関係性を考えると、保険会社が預かった保険料のうち支払保険金に充当する部分については、ほぼ一部損害に対する保険金が占めるということになります。

したがって、保険金額(保険価額)10億円の契約に〇億円という支払限度額を設定しても保険料への影響は限定的ということになるのですね。

 


(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。個別具体的な保険契約内容についてはパンフレットや重要事項説明書、約款等をご確認いただくか、保険代理店または保険会社へお問い合わせください。


 


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