企業が加入する傷害保険はどんな種類がありますか?

法人向け傷害保険の種類
目次

種類の多い傷害保険系

企業で加入する傷害保険は実はいろんな契約形態があり複雑です。
この10年程で最も進化した損害保険かもしれません。

10年程前は各保険会社で保険商品や保険料にほとんど差がなかったのですが、商品開発が進み、契約者の選択肢の幅が増えています。よく比較をすると保険料や補償内容に大きな差が出やすい分野になっています。

昨今は労災事故に対して、企業側の責任が強く求められる傾向が高まっていますので、政府労災の上乗せとして従業員を対象に傷害保険に加入する企業が増えていますが、大きく以下のような選択肢が存在します。

 

普通傷害保険系

昔からある伝統的な傷害保険で、対象とする従業員の氏名、生年月日、性別、従事する職務などを確認し明細化して契約します。
保険期間中に入社・退職があって対象者の変更がある場合はその都度、書面手続き及び保険料のやり取りが発生します。
具体的な氏名等を記載した明細を付けないで、対象者の人数だけで契約することもできます(準記名式)が、一定の割増保険料がかかります。
保険期間中に対象者数の変動があればやはりその都度、書面手続き及び保険料のやり取りが発生します。
また、「就業中のみ」に限定して保険料を抑えたり、「定期的な作業の時のみ補償したい」というニーズのために、実働日数に応じた契約にして保険料を抑えるなど工夫することも可能です。

普通傷害保険系の商品については保険会社による保険料の差はあまり出ません。

 

業種と売上高で契約するタイプ
対象とする従業員の具体的な人数は確認不要で、「業種」と「売上高」をベースに契約できるタイプです。
保険会社では「この業種でこの売上高なら〇〇人くらいだろう」という予め決めている数値に基づいて保険料を算出しますので、保険料を算出してみると割高だったり、割安だったりということがよく起こります。
各保険会社独自で開発しているので、保険会社によっても保険料がまちまちになります。
なお、業種と売上高をベースにしているので対象者の増減があっても保険期間中の手続きは不要です。
一度試算をしてみて、うまくハマる保険会社が見つかれば期中の変更手続きもなくラクに運用できます。また、売上高方式、人数方式どちらでもOKという保険会社もあります。どちらか安い方で契約してOKです。
契約時に具体的な対象者名を保険会社に通知していないので、実際の事故の時には「〇〇〇〇」さんはこの保険の対象者であるということを会社が証明する必要があります。

▼商品例
・損保ジャパン日本興亜「ビジネスマスター・プラス(傷害プラン)」
・あいおいニッセイ同和「タフビズ業務災害補償保険」
・Chubb損害保険「業務災害安心総合保険」
・日新火災「労災あんしん保険」
・AIG損保「ハイパー任意労災」

 

商工会議所等の団体契約プラン
全国の商工会議所や全国中小企業団体中央会が用意している団体契約の傷害保険があります。
仕組みとしては加盟する企業を1つの団体契約にまとめて保険会社と契約するので、そのスケールメリットにより、1社で加入する場合に比べて場合によっては50%前後という大きな団体割引が適用されます。
「業務災害補償共済」「業務災害補償プラン」などという商品名で販売されています。ただし、前提条件としてその団体契約制度をもっている商工会議所などに加盟している必要があります。保険料がだいぶ割安になると分かった場合、この保険に加入するために商工会議所等に加盟する企業もあります。

加入する場合は保険代理店に依頼し、プランが決まれば保険代理店を通じて加入します。

保険料の支払い方は口座振替、月払いで毎月1日~の加入となります。既に何らかの傷害保険に加入している場合は、加入するタイミングで既契約を解約するなどの手続きが必要になるでしょう。

また、団体契約の口座振替になるので、加入したい時期の2~3か月前から余裕をもって検討・準備をしておく必要があります。

 

労災総合保険
カテゴリーとしては傷害保険ではないのですが、労災総合保険も政府労災の上乗せという意味では、上記の保険と同列で検討できる商品です。
上記3つと異なるのは、政府労災の認定を前提に保険金が支払われる点です。つまり政府労災の認定が出るまで保険金が支払われないので、相対的にはケガを負った従業員が保険金を受け取る時期が遅くなります。また上記3つは役員も対象者に含めることができますが、役員はそもそも政府労災の対象ではないので労災総合保険には加入できません。

政府労災の認定を前提にして保険金が支払われる仕組みですので、比較的保険料は割安になる傾向があります。

 

そのほかに検討すべきこと

どの保険商品に加入するか比較検討するほかにも検討するべきことがあります。

ひとつが「受取人をどうするか」です。保険商品によっては基本的に会社が保険金をまず受け取って、補償対象者に会社から支払う、というものもありますが、会社がまずは受け取るのか、補償対象者が直接保険金を受け取るのか選べる場合もあります。

また、業務上のケガについて政府労災とは別にいくら払いますよ、という「災害補償規定」がないと加入できない保険商品もありますが、なくても契約できる保険商品もあります。

災害補償規定がない場合は、会社が従業員に対して「こういった保険に加入するよ」という通知を行う必要があります。保険会社として傷害保険契約にあたり一番避けなければならないのがいわゆる「モラルリスク」です。

想定するモラルリスクは、会社が傷害保険に加入して従業員がケガを負った場合、会社が保険金を受け取ってそのままその従業員に払わないというケースです。それを防ぐために傷害保険契約にあたっては契約形態に応じて様々な確認書類が必要になってきます。

 

まとめ

このように従業員(または役員)を対象とする傷害保険は多岐に渡っており、比較検討をすると予想以上にリーズナブルな契約ができることがあります。誰を補償対象者(被保険者)にするか、どんな特約を付けるかなど検討しなくてはならないことが結構多い保険でもあります。比較検討にあたっては自社の状況や希望を保険代理店に伝えて、一度幅広い提案をしてもらってはいかがでしょうか。

 


(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。個別具体的な保険契約内容についてはパンフレットや重要事項説明書、約款等をご確認いただくか、保険代理店または保険会社へお問い合わせください。


 

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