「火災保険を使って建物を無料で修理できますよ」——こんな勧誘電話や訪問営業を受けたことはありませんか?
近年、特に台風シーズンや大雨のあとになると、こうした怪しい勧誘が増えていて、トラブルになる悪質なケースが後を絶ちません。
実はこれ、保険金詐欺の可能性が高い危険な勧誘なのです。
この記事では、火災保険を使った詐欺の手口と、被害に遭わないための対策を詳しく解説します。
火災保険詐欺のトラブル相談件数は年々増加
国民生活センターによると、火災保険を悪用した住宅修理サービスのトラブル相談件数は年々増加しています。
2017年の時点でトラブル相談件数が1,000件を超えていましたが、2018年、2019年は全国的に台風被害が大きかったため、さらに増加したと推測されます。
さらに2020年代に入っても、毎年のように大雨や台風による被害が発生し、その都度この手の悪徳業者が暴れ回っている状況です。
これはあくまで「トラブル相談件数」であって、氷山の一角です。
悪徳業者が関わって保険金請求によって修理をし、家主から悪徳業者に不当・不正な対価が支払われたケースは相当数あるのでしょう。
火災保険詐欺の典型的な手口
勧誘の言葉
悪徳業者はこんな言葉で近づいてきます:
- 「火災保険を使えば無料で修理できますよ」
- 「保険金で新品になります」
- 「近所で工事をしていて、お宅の屋根が壊れているのが見えました」
- 「自然災害の被害なら必ず保険金が下ります」
- 「うちに依頼すれば保険金が下りるようにできます」
悪徳業者の特徴
こういう悪徳業者は悪徳工事業者であったり、悪徳工事業者と結託しており、以下のような特徴があります:
❌ 不当に高い修理見積が出る
- 本来50万円の工事を200万円で見積もる
- 保険金を多く引き出すため
❌ 支払われた保険金のうち30~50%を要求する
- 「成功報酬」として法外な手数料を請求
- 契約書に小さく書いてある
❌ 壊れていない屋根を台風で壊れたように見せかける
- わざと屋根を傷つける
- 経年劣化を自然災害と偽る
❌ 工事がずさん
- 手抜き工事で数年後に再び不具合
- 保険金だけもらって工事しない
❌ 工事をしない場合でも受け取った保険金の30~50%を要求する
- 「キャンセル料」として高額請求
- 契約解除に応じない
最も悪質なのは「保険金詐欺への加担」
たとえば、老朽化による雨漏りの場合、「経年劣化」として保険金支払対象外であるにも関わらず、台風によって屋根が破損し、結果的に雨漏りとなったなどと悪徳工事業者が嘘の写真や説明を作り上げます。
これは保険金を不当に受け取るよう画策した保険金詐欺であり犯罪です。
悪徳業者からの「こういうことにしておいてくださいね」とか「我々がアドバイスしていることは保険会社には言わないでください」という要求に従えば、家主も詐欺に関わったとして刑事罰を受ける可能性があります。
「知らなかった」では済まされません。
悪徳業者が目を付けた「臨時費用保険金」
火災保険が支払われる場合、多くのケースで「臨時費用保険金」として、修理代のほかにプラス10%~30%が上乗せして支払われます。
特に2019年9月以前の火災保険契約だと、この臨時費用保険金が30%に設定されているケースが多いです。
修理代の他に30%が上乗せされて支払われるので、費用としては”浮く“ことになり、悪徳業者はここに目をつけたのだと思われます。
臨時費用保険金の見直し
2018年、2019年は全国的にも台風・洪水被害が多発し、損保会社も多額の保険金を支払うことになりました。
ここで、「臨時費用保険金は本当に30%必要なのか」ということで、2019年10月以降の火災保険契約の多くが臨時費用保険金は10%がスタンダードとなっています。
こういった保険金詐欺への対抗手段という側面もあるのでしょう。
ただし、2026年現在でも2019年以前の契約が残っている世帯は多く、そうした世帯が悪徳業者に狙われやすい状況が続いています。
なぜ詐欺が増えているのか?
1. 自然災害の増加
近年、台風、大雨、洪水、地震など、自然災害が頻発しています。被害が出るたびに、悪徳業者が「チャンス」とばかりに動き出します。
2. 高齢者の増加
高齢者世帯は判断力が低下していることもあり、狙われやすい傾向にあります。
3. 保険金支払査定の簡素化
損保会社も災害時は対応に追われ、処理優先で保険金支払査定が簡素化されることがあります。そこもつけこまれる一因なのでしょうね。
4. SNSや口コミでの拡散
「保険金で無料修理できた」という(実は詐欺の)体験談がSNSで拡散され、「自分もやってみよう」と思う人が増えています。
被害に遭わないための対策
1. 勧誘に絶対応じない
もし、親切そうに「火災保険を使って建物を無料で修理できますよ」「新品になりますよ」などという勧誘電話や訪問営業があったとしても絶対に応じてはいけません。
その場で契約しない、即決しないことが大切です。
2. 自分で保険会社に連絡する
台風等で被害があったのなら、自分で保険代理店や保険会社に相談しましょう。
そもそも台風などで被害を受けたら、火災保険で修理代が(妥当な金額であれば)保険金として支払われるので、わざわざ怪しい業者に頼む必要はありませんし、無駄な30~50%の手数料を支払う必要もありません。
保険金が出ないものは出ない、支払われるものは妥当な金額が支払われるということです。
3. 複数の業者から相見積もりを取る
不当に高い修理金額を請求する工事業者もあるので、できれば2社以上から相見積もりをとりましょう。
相場を知ることで、不当な見積もりを見抜けます。
4. 修理するなら契約書の内容をよく確認する
- キャンセル料の記載はあるか?
- 手数料は何%か?
- 工事内容は具体的に書かれているか?
契約書にサインする前に、必ず内容を確認しましょう。家族や専門家に相談するのも良いです。
5. クーリングオフ制度を知っておく
訪問販売や電話勧誘販売の場合、契約から8日以内ならクーリングオフができます。
「契約してしまった」と思ったら、すぐに消費生活センター(188)に相談しましょう。
もし被害に遭ってしまったら
すぐに相談する
- 消費生活センター(消費者ホットライン):188
- 警察相談専用電話:#9110
- 弁護士:法テラス(0570-078374)
泣き寝入りせず、すぐに相談することが大切です。
証拠を残す
- 契約書のコピー
- 業者とのやり取り(メール、録音など)
- 見積書、請求書
こうした証拠があると、被害回復や刑事告訴に役立ちます。
家族や周りの人にも伝えよう
この手の詐欺は、高齢者が狙われやすい傾向にあります。
もしあなたの親や祖父母が一人暮らしなら、「こういう詐欺があるから気をつけて」と伝えておきましょう。
また、近所で怪しい業者を見かけたら、地域の防災・防犯ネットワークで情報共有することも大切です。
まとめ
火災保険を使った詐欺の手口と対策について解説しました。
✅ 勧誘の言葉:「無料で修理できる」「保険金で新品になる」
✅ 悪徳業者の特徴:不当に高い見積もり、保険金の30~50%を要求
✅ 保険金詐欺は犯罪:家主も刑事罰を受ける可能性
✅ 対策:勧誘に応じない、自分で保険会社に連絡、相見積もりを取る
✅ 被害に遭ったら:消費生活センター(188)にすぐ相談
台風や大雨のあとは、こうした悪徳業者が暴れ回ります。甘い言葉に騙されず、冷静に対応しましょう。
「保険金で無料」という話は、ほぼ100%詐欺だと思ってください。
まずは自分で保険代理店や保険会社に相談。それが一番安全で確実な方法です。



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