将来の生活設計を作っている世帯は3~4割
2019年の金融広報中央委員会の調査によれば、将来の生活設計(ライフプラン)を作っている世帯は35.1%とのこと。
“将来の生活設計(ライフプラン)”という言葉の定義にもよりますし、お金に困っていない家庭には不要な作業でしょう。または、お金がなさすぎる家庭にとっても「生活設計どころじゃない」、ということかもしれません。
ただし、単に時間がないとか後回しにしている、ということなら将来の生活設計(ライフプラン)は作成しておいて無駄にはならないでしょう。
人間は「重要でも緊急性のない事柄」は後回しにしがち
物事を緊急性と重要性で区別すればシンプルに以下のようになります。
緊急性大 | 緊急性小 | |
重要性大 | ① | ② |
重要性小 | ③ | ④ |
日々の仕事・生活でやらなくてはならないことは①、将来の生活設計(ライフプラン)は重要だが緊急でないこととして②にあたりますね。
人間は、この②の重要だが緊急でないことを時には落ち着いて考える時間を持つべきであると考えます。
なぜなら、将来の家計収支が厳しい場合、その対策を早めに行えば効果が高まるから。
90歳でマイナス7000万円の赤字家計
たとえば、以下のような前提条件でライフプラン表を作成すると、90歳のときにはマイナス7000万円程という大赤字に陥ってしまうことが分かります。
・退職金1500万円
・妻38歳専業主婦
・子供8歳 高校まで公立、大学は私立文系
・これから3000万円弱の住宅を取得
・貯蓄500万円
・基本生活費300万円/年 年0.5%上昇
・車1台あり
将来の家計収支が大赤字だった場合はどうすればいいのか?
上記のように将来の生活設計(ライフプラン)を作成すると未来の金融資産が赤字になるケースがあります。
将来何が起こるかは分かりませんが、メインシナリオ(死亡、大病、離婚、大災害など大きな環境変化がないシナリオ)が赤字というのは放置できませんね。
少なくとも大きなトラブルがなかった場合のメインシナリオは黒字で終わるシミュレーションにしておく必要があり、将来の家計収支を改善するには「収入を増やす」か「支出を減らす」しかありません。
<対策>収入を上げる
1.共働き
2.副業
3.転職
4.昇給・昇進
など
たとえば年間収入が100万円増えると、50年で5000万円の改善になる。これは大きいですね。
妻のパートなども馬鹿にできないし、副業なども必要があれば戦略的に検討するべきでしょう。
ただし増えた収入分使ってしまっては意味がなく、きちんと貯蓄に回せるようにするためにも、何のための収入増なのか目的をはっきり認識しておく必要があります。
なかには、将来親から相続を受けられるという恵まれたケースもあるでしょう。
<対策>支出を減らす
1.基本生活費を下げる
食費、外食、通信費、小遣い、光熱費・・・削減できるものがないか検討しましょう。
金額的な目安は年間10万円単位で削減できると、ライフプラン表上どう反映するか分かりやすいものです。たとえば年間10万円(月1万円弱)でも、50年と考えれば500万円の改善になる。
2.住宅費を下げる
住宅のグレードを下げる対策は取りづらいです、一般的に住宅費は生涯一の支出になる項目なので、可能なら住宅のグレードダウンも収支改善に大きな影響を及ぼします。
賃貸がよいのか、購入が良いのか、という議論はありますが、それはケースバイケースで、それぞれシミュレーションしてみて、良い物件があるなら住宅を購入することで結果的に生涯の住宅費を下げられることもあり得ます。
または親との同居や二世帯住宅なども結果的には住宅費を節約できる選択肢になるかもしれません。
3.教育費を下げる
あまり手をつけたくない部分ですが、たとえば合計で数百万円かかる大学費用については奨学金を借りるなどの手段もあります。
4.保険を見直す
国内大手の生保会社は一般的に割高です。
もししばらく見直していないなら、外資系や損保系生保、ネット生保を選ぶことで、長期的にみれば相当節約できる場合があります。
自動車保険もネットの方が安いです(事故の際の対応クオリティが変わらないなら)。
保険をよく見直すことで年間10~20万円(50年で数百万円)削減できることはザラにあります。
5.自動車を見直す
都会に住んでいるならカーシェアなども選択肢になります。
また、車のグレードや何年ごとに買い替えるのか、何歳まで乗るのかによっても将来収支に影響がでてきます。
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大切なのは、将来の生活設計(ライフプラン)をつくり、収支シミュレーションを行って、あれこれ検討する時間を持つことだと思います。
そこで家族の優先順位をあらためて見つめなおすこともできますし、人生をより豊かにすることにつながると思います。