税制メリットの大きいイデコ(個人型確定拠出年金)が導入されたり、「貯蓄から投資へ」という流れの中で、老後資金は自分で準備することも必要、という時代になっています。
老後資金については、「積立」「国際分散」「長期的」というのがリスクを抑え、確実性を高めるためのコツとよく言われます。
一方、貯まった老後資金はどのように現金化すればよいのでしょうか。
1.リタイアしたらそれまでの投資資金を即座に現金化する
2.現金が足りなくなってきたら投資資金をすべて現金化する
3.現金が足りなくなってきたら投資資金を少しずつ現金化する
人それぞれの考え方があると思いますが、今回は、
・65歳時に一括で投資資金を現金化する場合と、
・65歳から年100万円ずつ取り崩す場合を
比較してみましょう。
・夫、妻とも40歳
・子供10歳
・現在の貯蓄500万円
・世帯手取収入650万円(夫500万円、妻150万円)
・夫60歳時の退職金1500万円
・夫は60歳~5年間再雇用
・公的年金70歳~250万円/年
・自動車7年ごとに買い替え250万円ずつ
CASE①65歳時に一括で投資資金を現金化
・40歳~60歳までの21年間 毎年50万円ずつ積立投資
・年利回り3%
・65歳時に一括で取り崩し
この図は、年齢ごとに推移する金融資産残高を表しています。
水色が現金で、オレンジが投資(老後資金)、緑は合計です。
60歳で退職金1500万円をもらう頃に、金融資産残高は7000万円台になり、
そのうち、投資資金は1400万円程になっています。
21年間毎年50万円を積み立て3%で運用できると1400万円にもなるのですね。
老後資金の足しとしては一定の金額といえます。
老後は貯金を取り崩しながら生活することになりますが、65歳時点で一括で投資資金を現金化しますので、オレンジの部分が一気にゼロになっています。
このケースでは、95歳時点での金融資産残高は667万円との結果です。
CASE②65歳から年100万円ずつ現金化
・40歳~60歳までの21年間 毎年50万円ずつ積立投資
・年利回り3%
・65歳から毎年100万円ずつ取り崩し
こちらは、65歳から毎年100万円ずつ、投資資金を現金化する場合の図です。
オレンジの投資資金の部分がなだらかに減少していき、80歳を過ぎたあたりでゼロになります。
長年積み立ててきた投資資金を運用しながら一定のペースで取り崩していくわけです。
このケースでは、95歳時点での金融資産残高は989万円との結果で、上記の一括で現金化する場合に比べて300万円強のプラスとなります。
単純に考えると、たとえば投資資金が1000万円あるときに年3%で運用できると30万円の利益が出ます。
それが毎年続けば、資産を取り崩すスピードが緩やかになる、というわけです。
ただし、上記の比較はあくまで計算上(理屈上)のものであります。
実際の運用利回りが高かったり、運用資金が多ければ両者の差はもっと開きますし、逆なら差は縮むでしょう。
また、投資の原則は「安い時に買って高い時に売る」です。
一括で現金化するタイミングが、株価の高いときであれば、その判断も間違いではないでしょう。
加えて。
投資資金をずーっと保有していても認知症などになれば理性的な運用ができないかもしれません。
基本は、家計簿やライフプラン表などを参考に家計管理をしながら、自分にあった運用スタイルをみつけていくことでしょうか。