住宅着工戸数の推移と今後の予測|2040年には61万戸まで減少

住宅着工戸数の推移と今後の予測|2040年には61万戸まで減少

日本の新設住宅着工件数は長期的に減少傾向にあります。

私が住宅関係の仕事をしていた2000年代前半は「毎年100万戸超」が建てられているというのが常識と言われていました。ということは、毎年新築物件が100万戸超売れているということで、日本の人口1億人超からいえば、毎年100人に1人が新築住宅を買っている、ということになりますね。

しかし、2024年度には約82万戸まで減少し、野村総合研究所の予測によれば、2040年度には61万戸にまで落ち込む見込みです。

目次

住宅着工戸数の推移|ピークから現在まで

2000年代のピーク|団塊ジュニア世代の影響

戸建て、マンションあわせて2000年代は毎年120万戸程の住宅が建設されていました。

この2000年代の毎年約120万戸というのは、人口動態にも関係していると言われ、ちょうど団塊ジュニア(1971-1974年生まれ)の世代が住宅購入適齢期(30代あたり)だったことも要因としてあると思います。

団塊ジュニアは毎年200万人強が誕生した世代です。極端に考えれば団塊ジュニア1年につき200万人のうち、120万人が新築住宅を購入していたとも言えます。中古を買う方も考えると、かなりの割合の人が住宅を購入していたといえますね!

(ちなみに団塊世代(1947-1949年生まれ)は毎年270万人が誕生)

リーマンショック後の急落

2008年のリーマンショックのあたりからガクンと落ち、80万戸程になり、少しずつ回復してきたものの、コロナの影響もあって2020年は73万戸程まで落ち込みました。

2024年度の現状

野村総合研究所のデータによれば、2024年度の新設住宅着工戸数は約82万戸です。

利用関係別の内訳:

  • 持家:22万戸
  • 分譲住宅:23万戸
  • 貸家(給与住宅を含む):36万戸

2040年には61万戸まで減少する見込み

野村総合研究所の予測によれば、新設住宅着工戸数は今後も減少を続け、2040年度には61万戸(2024年度比約25%減)にまで落ち込む見通しです。

利用関係別の2040年度予測

  • 持家:14万戸(2024年度22万戸から36%減)
  • 分譲住宅:18万戸(同23万戸から22%減)
  • 貸家:29万戸(同36万戸から19%減)

いずれも漸減する見込みですが、特に持家の減少が顕著です。

なぜ住宅着工戸数は減少するのか?

住宅着工戸数が減少する主な理由は以下の通りです。

1. 人口減少と少子化

平成に入ってからは概ね100万人強が誕生して徐々に減少していき、2020年の出生は87万人です。団塊ジュニア世代の毎年200万人強と比べると、半分以下になっています。

2. 建築費の上昇(職人不足)

建築業界の人手不足により、建築費が年々上昇しています。資材価格の高騰も重なり、新築住宅の価格はかつてないほど高額になっています。私が戸建て住宅販売に従事していた頃、新築戸建て住宅の坪単価は50万円台でしたが、今は100万円程とのこと。建築費は20年で倍になっているようです。

3. 給与はさほど上がらない

建築費は上がっても、給与水準はそれほど上がっていません。結果として、新築住宅を購入できる層が限られてきています。

4. 優良な中古住宅ストックの増加

住宅の長寿命化が進み、質の良い中古住宅が市場に増えています。わざわざ高額な新築を買わなくても、リノベーション済みの中古住宅で十分という選択肢が広がっています。

5. 住宅の長寿命化

かつては30年で建て替えが一般的でしたが、現在は50年、100年住める住宅が増えています。建て替え需要が減っている要因の一つです。

新築住宅を建てられる人が限られる時代に

実は私が20年以上前に勤務していたハウスメーカーの人に最近聞いたところ、新築部門よりもリフォーム部門の方が人が多くなり、売上もリフォームの方が多いとのこと。

住宅建築価格が高くなりすぎて、特に地方では新築を建てられる人が極端に限られているそうです。

新築注文住宅を建てられる人の条件

今、地方で新築の注文住宅を建てられるのは、以下のような人に限られているようです:

  • 夫婦共働きで正社員、一定の年収がある
  • 地主(土地代がかからない)
  • その地域で有数の企業に勤めている
  • 親からの資金援助がある

言い換えれば、普通のサラリーマン1人の収入では、地方でも新築住宅を建てるのが難しい時代になっているということですね。

都市部では持家・分譲が減少、貸家が主流に

野村総研のデータを見ると、興味深い傾向が見えてきます。

一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)と大阪府の予測:

世帯数(需要)に対する持家・分譲の着工戸数は低下傾向が今後も続く一方で、貸家の着工戸数は高水準を維持し、貸家が住宅着工の主流になっていくと考えられます。

つまり、都市部では「持ち家を買う」のではなく「賃貸に住む」という選択をする世帯が増えていくということです。

住宅価格の高騰により、都市部でも持ち家を購入できる層が限られてきているのでしょう。

しかし、賃貸住宅の賃料値上げも社会的問題になりつつあるようです。

リフォーム市場は成長を続ける

新設住宅着工戸数が減少する一方で、リフォーム市場は今後も成長を続ける見込みです。

リフォーム市場規模の予測

野村総研の予測によれば、広義のリフォーム市場規模は、今後もわずかながら成長を続け、2040年には9.2兆円に達する見込みです(2023年は約8.3兆円)。

リフォーム市場が伸びる理由:

  1. 既存住宅の長寿命化ニーズ:建て替えるより、リフォームで住み続ける
  2. 高齢化に伴うバリアフリー需要:段差解消、手すり設置など
  3. 省エネリフォーム需要:断熱改修、太陽光パネル設置など
  4. 中古住宅購入時のリノベーション需要:購入後にフルリノベーション

ハウスメーカーもリフォームに注力

冒頭で紹介した通り、大手ハウスメーカーでも新築部門よりリフォーム部門に人員と予算を振り向けているケースが増えています。

新築住宅は建てられる人が限られてきている一方で、リフォームは既に家を持っている人すべてが潜在顧客になります。市場規模としても、今後はリフォームの方が大きくなっていく可能性が高いでしょう。

住宅市場の変化とライフプランへの影響

こうした住宅市場の変化は、私たち個人のライフプランにも大きく影響します。

持ち家 vs 賃貸の選択

かつては「持ち家が当たり前」という時代でしたが、今は必ずしもそうではありません。

持ち家のメリット:

  • 老後も住む場所がある安心感
  • 住宅ローン完済後は住居費が安い
  • 資産として残せる

賃貸のメリット:

  • 初期費用が少ない
  • ライフステージに合わせて住み替えやすい
  • 修繕費用がかからない
  • 固定資産税がかからない

住宅価格が高騰している今、無理に新築を買うよりも、賃貸に住みながら資産運用する方が賢い選択という考え方もあります。

ライフプランで住宅費用を見える化しよう

「新築を買うべきか、賃貸に住み続けるべきか」「リフォームでどのくらい費用がかかるか」——こうした判断をするには、ライフプラン(キャッシュフロー表)を作成することが重要です。

  • 今後の収入と支出のバランス
  • 住宅ローンを組んだ場合の返済計画
  • 老後資金は足りるか

こうした全体像を把握したうえで、住宅に関する判断をすることで、後悔のない選択ができます。

当サイトでは、自分でエクセルでライフプランを作成できる無料ツールを提供しています。ぜひ活用して、あなたに合った住宅の選択を見つけてください。

まとめ

日本の住宅市場は大きな転換期を迎えています。

✅ 住宅着工戸数:2024年度82万戸 → 2040年度61万戸(25%減)
✅ 持家の減少が顕著:2024年度22万戸 → 2040年度14万戸(36%減)
✅ 都市部では貸家が主流に:持ち家・分譲は減少、賃貸需要が高まる
✅ 新築を建てられる人が限定的:特に地方では共働き正社員・地主などに限られる
✅ リフォーム市場は成長:2023年8.3兆円 → 2040年9.2兆円

新築住宅の需要が減れば価格が下がって着工件数は少し持ち直したり、また下がったりを繰り返しながら、どんどん落ちていく、ということですね。

建設技術に革命が起こって建設費がガクンと落ちるとかそういうことでもない限り、新築住宅は減っていくのでしょう。

そう考えるとこれからますますリフォーム市場が伸びるのかもしれませんね。

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