家計運営で大事なのは「長期的な戦略」と「自動化」です。
人生100年時代といいます。今もし50歳だとしてもまだまだ折り返し地点に来たに過ぎません。ましてや20~30代なんてまだ2~3割しか来ていないわけです。
経営学の権威ピーター・ドラッカーはいいます。「人は1年でできることを過大評価し、5年でできることを過小評価してしまう」と。
現代人は生きている限り否応なしに多かれ少なかれ自身または家族の家計と向き合い管理し続ける必要があり、その意味では「長期的な視点での戦略」をもってそのプライオリティを保てるか、または行き当たりばったりの生活をするかでは数十年後に大きな差が生じてくるでしょう。
この記事では、「月1万円の積立投資」を長期的に続けると、どのような成果が得られるのかを、実際のデータをもとに解説します。
長期的な戦略には「自動化」が欠かせない
“長期的な家計の戦略”というと常に節約を心掛け、投資を管理し・・と精神的に大変だと感じてしまうかもしれません。
そこで便利なのが「自動化」ということです。
長期的な戦略に基づいて、積立型のiDeCoや投信、保険などの金額や期間を決めて開始すれば、あとは自動的にその金融商品または仕組みがあなたの戦略を実行してくれるでしょう。
戦略をもって貯蓄・投資計画を実行したなら、あとは残りのお金で生活するだけです。
人は手元にお金が「あれば使ってしまう」性質があります。したがって、手元に気軽に使えない状態・仕組みを一度作ってしまえばよいわけですね。
月1万円を50年貯めるだけなら600万円
戦略を持たず将来に適切な不安を抱かず行き当たりばったりな生活をして貯蓄をしないとすれば、退職金が多いとか相続をアテにできるとか特別な事情がない限り将来経済的に困る確率が高まります。
仮に月1万円を50年貯めると、600万円になります。
これだけでも十分素晴らしいことですが、では月1万円を”年7%程”で50年運用するとどうなるでしょう?
1990年〜2025年の実績データで検証
1990年から2025年までの36年間の各資産(アセットクラス)ごとの代表的な指数の騰落率をまとめたのが、下記のデータです。

このシートの詳細が確認できるエクセルは、この記事の下からダウンロードできます。
ポートフォリオの内訳
- 日本株:20%
- 外国株:20%
- 日本債券:20%
- 外国債券:20%
- 外国リート(不動産):20%
この5つの資産に均等に分散投資した場合の結果を見てみましょう。
年別リターンの実績
プラスリターンの年:
- 2003年:+15.3%
- 2004年:+11.5%
- 2005年:+21.6%
- 2006年:+15.4%
- 2009年:+18.5%
- 2012年:+23.0%
- 2013年:+31.7%(最高)
- 2014年:+18.7%
- 2015年:+1.5%
- 2016年:+1.9%
- 2017年:+10.0%
- 2019年:+16.3%
- 2020年:2.1%
- 2021年:+13.0%
- 2023年:+20.1%
- 2024年:+14.4%
- 2025年:+11.6%
マイナスリターンの年:
- 2007年:-3.3%
- 2008年:-32.2%(リーマンショック)
- 2010年:-0.8%
- 2011年:-5.5%
- 2018年:-7.7%
- 2022年:-6.1%
36年間の平均リターン:7.2%
仮に1990年からこの割合で月1万円(年12万円)ずつ積立投資をしてきた場合、1年単位では最大でプラスマイナス3割程資産が上下してしまいますが、過去36年間の平均は7.2%です。
投資は値下がりが怖いというシンプルな懸念がありますが、長期的に積立投資をする場合は価格が下がっているときにはむしろ「安く買えている」とポジティブに捉えることができます。これが積立投資(ドルコスト平均法)の最大のメリットですね。
たとえば2008年のリーマンショックでは-32.2%と大きく下落しましたが、その後2009年には+18.5%、2013年には+31.7%と大きく回復しています。
積立投資なら、2008年に安く買えた分、その後の上昇で大きな利益を得られたことになります。
月1万円を50年間、年7%で積立投資すると?
では、平均7%程で年間12万円を50年積立投資したらどうなるでしょう?
シミュレーション結果:
| 年数 | 累計投資額 | 運用成果 |
|---|---|---|
| 10年 | 120万円 | 約190万円 |
| 20年 | 240万円 | 約530万円 |
| 30年 | 360万円 | 約1190万円 |
| 40年 | 480万円 | 約2290万円 |
| 50年 | 600万円 | 約4420万円 |
50年の積立投資額600万円に対して、成果は約4420万円にもなります。
iDeCoやNISAなら税金もかからない
投資については一般的に益金に対して所得税(20%など)がかかるものですが、iDeCoやNISAはそれがかかりません。
極端に考えて、仮に20歳の人がiDeCoをスタートして、今後制度改正があって70歳までiDeCoの積立がOKになるとすれば、50年後(70歳時)に所得税を1円もとられずに4000万円以上を手にすることも十分にあり得ます。
もし、月2万円にしたら、それが倍になるわけです。このくらいあれば老後もまったく安泰ですね。
複利の力は時間をかけるほど大きくなる
このシミュレーションが示すのは、複利の力です。
単利と複利の違い:
- 単利:元本にのみ利息がつく
- 600万円に年7% → 毎年42万円の利益 → 50年で2,100万円の利益
- 合計:約2,700万円
- 複利:元本+利益にも利息がつく
- 運用益も再投資される → 50年で3800万円ほどの利益
- 合計:約4420万円
複利の効果により、単利より約1,700万円も多くなります。
時間が最大の味方
複利効果は時間をかけるほど大きくなります。
20年後と50年後の比較:
- 20年後:240万円投資 → 約530万円(投資額に対し2.2倍)
- 50年後:600万円投資 → 約4400万円(投資額に対し7.3倍)
投資期間が2.5倍なのに、成果は約3倍になっています。これが複利の力です。
現代の若者はむしろハッピーな時代
現代の若者は将来の公的年金受給額が少ないから悲惨だろうと言われますが、こういう考え方をすれば、iDeCoや積立投信(新NISA)の仕組みが充実しているので、家計管理について賢く行動できればむしろハッピーな時代と捉えることもできるでしょう。
2024年から新NISAが大幅拡充
- 非課税保有限度額:1,800万円
- 非課税期間:無期限
- 年間投資枠:つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円
月1万円なら、年間12万円。新NISAのつみたて投資枠(年120万円)の範囲内で、非課税で運用できます。
積立投資を始める前に考えるべきこと
1. 長期的に続けられる金額にする
月1万円が厳しいなら、月5,000円でもOKです。大切なのは「続けること」です。
2. 生活防衛資金は別に確保
積立投資は長期的に続けるものなので、急な出費に対応できる「生活防衛資金(3〜6か月分の生活費)」は別に貯めておきましょう。
3. 下落時にも慌てない
1年単位では大きく下がる年もありますが、長期的には平均7%程度のリターンが期待できます。下落時にも売らずに積立を続けることが大切です。
4. ライフプランで全体像を把握
積立投資は素晴らしい仕組みですが、人生にはさまざまなお金が必要です。
- 住宅購入資金
- 子どもの教育費
- 老後資金
こうした全体像を把握したうえで、積立投資にいくら回せるかを決めることが大切です。
当サイトでは、自分でエクセルでライフプランを作成できる無料ツールを提供しています。ぜひ活用して、あなたに合った積立投資の金額を決めてください。
まとめ
月1万円の積立投資の威力について解説しました。
✅ 月1万円×50年=600万円(貯金のみ)
✅ 月1万円×50年×年7%運用=約4400万円
✅ 1990〜2025年の平均リターン:7.2%
✅ 複利の力:時間をかけるほど効果が大きくなる
✅ 新NISA・iDeCo:非課税で運用できる
✅ ドルコスト平均法:下落時も「安く買えている」と考える
「人は1年でできることを過大評価し、5年でできることを過小評価してしまう」——ピーター・ドラッカーの言葉通り、長期的な視点での積立投資は、想像以上の成果をもたらします。
まずは月1万円から。自動化の仕組みを作って、長期的な戦略を実行しましょう。



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