平成29年度税制改正 医療費控除の注目ポイント


多くのサラリーマンは、所得税や住民税は会社が給与から差し引いて納めてくれるため、その計算は年末調整で完結しています。

しかし医療費控除など年末調整ではできずに確定申告しなければならない控除もあります。他の所得が無いサラリーマンが申告すれば、確実に所得税が還付されるものです。

この医療費控除が、平成29年3月27日で成立した税制改正法で大きく変わることになりました。

1.セルフメディケーション税制(スイッチOTC薬品控除)

新たな計算方法が医療費控除に加わります。

従来医療費控除は、年間10万円以上無いと活用できないと言われていました(実際は10万円と総所得金額等×5%の低い方を上回れば活用できるので、給与所得だけであれば年収300万円程度までは10万円未満でも活用できる可能性はあります)。

平成29年からは健康増進に努めることを条件として、ドラッグストアなどで購入できる下記サイトの市販薬(スイッチOTC薬品)が年間12,000円を超えた場合は、医療費控除の対象となります。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000145909.pdf

病院に頼らない健康維持を目的としていますが、上記市販薬は従来から医療費控除の対象となっており、病院治療費と含めて従来の方式で計算したほうが確定申告上、有利な場合もあります。

2.マイナンバー情報連携に伴う医療費領収書の添付省略

医療費控除を活用する場合は、病院や薬局等からもらう領収書を提出するのが原則で、インターネットとICカードを利用して、1件ごとの記録をつけ電子申告を行った場合のみ提出省略ができました。

平成29年(2017年)から電子申告以外でも、領収書を添付せず1件ごとの記録をつけた明細を提出するのが原則となります。ただし、2019年までの3年間は従来通り領収書を提出する方式も認められます。

なぜ今頃になって…なのですが、マイナンバー制度導入に伴い、社会保障と税の情報連携が行われることが前提でこの改正が行われています。

具体的には、顔写真つきマイナンバーカードがあれば使える「マイナポータル」で、健康保険を使った医療費の情報を、電子申告する際に紐づけて申告するのです。これが実現すれば、医療費控除の手間は省けることにはなります。

しかし「マイナポータル」の運用開始が当初平成29年1月予定だったものが7月・10月とどんどんずれ込み、さらに健康保険分野の情報連携に至っては全面延期とも言われています。

平成29年に関しては、医療費領収書の提出省略ができるとしても、マイナポータルで紐づけできるかは不透明です。健康保険組合などから送られる「医療費のお知らせ」を提出できるのであれば手間は省けますが、この改正の動向に関しては今後も注意が必要です。



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